最近、支援先の方と「紹介で仕事を広げるには、何を準備しておくといいか」という話をしていました。
その方は、すでに自分のサービスを体験してくれた人がいました。
しかも、その人は経営者のつながりも多く、いろんな会合にも出ている。
「この方に紹介してもらえたら、かなり可能性がありそうですね」
そんな話になりました。
ここだけ聞くと、すごくシンプルに見えます。
体験してくれた人がいる。
その人が良かったと言ってくれている。
紹介先になりそうな人もいる。
じゃあ、紹介をお願いすればいい。
でも、実際に考えていくと、そんなに簡単ではありませんでした。
紹介する人にも、立場があります。
相手との関係性があります。
忙しさもあります。
何より、こちらのサービスを代わりに売り込んでもらうのは、けっこう負担が大きい。
そこで話しながら見えてきたのは、こういうことでした。
紹介は、お願いする前に、相手が動きやすい導線を用意した方がいい。
今日は、この話を書いてみます。
紹介は、お願いした瞬間から相手の負担になる
紹介をお願いするとき、ついこう考えがちです。
「知り合いに声をかけてもらえたら助かる」
「良かったよ、と言ってもらえたら広がる」
「興味ありそうな人にチラシを渡してもらえたらいい」
もちろん、それ自体は自然な発想です。
紹介は、自分ひとりでは届かない人に届くきっかけになります。
特に小さな事業やフリーランスにとって、信頼できる人からの紹介はとても大きいです。
ただ、紹介する側の立場で考えると、話は少し変わります。
その人は、自分の商品を売るわけではありません。
自分の会社のサービスでもありません。
あくまで「知り合いのサービスを、別の知り合いに伝える」という立場です。
そうなると、強く売り込むのは難しい。
「これ、すごく良かったから絶対やった方がいいですよ」
とまで言ってもらうのは、相手にかなりの負担をかけます。
しかも、紹介がうまくいかなかったときや、相性が合わなかったときには、紹介者の信用にも少し影響します。
だから紹介者は、意外と慎重です。
これは、やる気がないという話ではありません。
むしろ自然な配慮です。
僕も誰かを紹介するときは、やっぱり少し考えます。
この人に紹介して大丈夫かな。
困りごとに合っているかな。
相手の時間を無駄にしないかな。
そういう判断をしています。
だから、紹介される側がやるべきことは、ただ「紹介してください」とお願いすることではないと思うんです。
紹介する人が安心して動けるように、負担を減らすこと。
ここから考えた方がいい。
紹介者に営業してもらおうとすると止まりやすい
打ち合わせの中で、最初に出てきた案は、体験してくれた社長さんに会合などで話してもらうことでした。
その方は、いろんな経営者の集まりに参加している。
そこで、
「こういうチームづくりの取り組みを受けてみた」
「コミュニケーションや組織づくりに効果がありそうだった」
「興味がある人は見てみてください」
という形で紹介してもらえたら、自然です。
でも、ここで大事なのは、紹介者に営業してもらいすぎないことです。
紹介者にお願いしたいのは、売り込みではなく、きっかけづくりです。
「やってください」と説得してもらうのではなく、
「これ、興味ありますか?」と入口を開いてもらう。
それくらいの温度感の方が、紹介する側も動きやすい。
逆に、紹介者に営業役を背負わせてしまうと、動きが止まりやすくなります。
説明しなければいけない。
効果を伝えなければいけない。
価格も聞かれるかもしれない。
相手から質問されたら答えなければいけない。
こうなると、紹介する人の頭の中で、急にタスクが重くなります。
いや、ただ紹介するつもりだったのに、急に営業代行みたいになってるやん。笑
これは、頼まれる側もしんどいです。
だからこそ、紹介者が持つ役割を小さくする。
「体験を軽く話す」
「興味がありそうな人に渡す」
「詳しい話を聞きたい人がいたら、つなぐ」
このくらいまで分けて考えると、紹介はかなり現実的になります。
まず聞くべきは「何があれば紹介しやすいですか」
紹介をお願いするとき、こちらからいきなり方法を決めすぎない方がいいこともあります。
たとえば、
「このチラシを配ってください」
「この文章を送ってください」
「会合でこう話してください」
と決め打ちでお願いすると、相手にとっては少し重く感じるかもしれません。
もちろん、具体的なお願いは大事です。
でも、その前に一度聞いてみるのがよさそうです。
どんなものがあると、紹介しやすいですか?
これだけです。
チラシがいいのか。
短い紹介文がいいのか。
WebページのURLがいいのか。
PDFの資料がいいのか。
会ったときに渡せる名刺サイズのカードがいいのか。
紹介者によって、動きやすい形は違います。
会合で人と会うことが多い人なら、手元で渡せるものがいいかもしれません。
メールでつなぐことが多い人なら、短い紹介文とURLがある方が楽かもしれません。
その場で話すのが得意な人なら、30秒で言える一言があれば十分かもしれません。
大事なのは、こちらが作りたい資料ではなく、相手が紹介しやすい道具を用意することです。
ここを間違えると、立派な資料を作っても使われません。
資料が悪いのではなく、紹介の場面に合っていないだけです。
だから最初に聞く。
「何があったら紹介しやすいですか?」
この問いは、紹介者への配慮でもあり、導線設計のスタートでもあります。
入口はチラシでも、ゴールは“次の会話”にする
紹介の導線を考えるとき、チラシやWebページや資料に意識が向きます。
それは大事です。
でも、チラシを渡すことがゴールではありません。
Webページを見てもらうことも、まだゴールではありません。
本当に作りたいのは、そのあとに自然な会話が生まれる流れです。
たとえば、紹介者が会合で話す。
興味を持った人にチラシを渡す。
その人がチラシやWebページを見る。
「これ、うちにも関係ありそうですね」と思う。
そこで、紹介者にもう一度聞く。
「実際どうでした?」
紹介者が、
「うちは受けてみて、こういうところが良かったですよ」
と体験を話す。
そのうえで、
「よかったら一度、3人で話す場を作りましょうか」
となる。
こういう流れがあると、かなりスムーズです。
いきなり問い合わせフォームから連絡してください、でも悪くはありません。
ただ、紹介の場合は、紹介者の信頼が少し乗っている状態です。
その信頼を活かすなら、最初の会話に紹介者が少し同席してくれる形も有効です。
いきなり知らない相手同士で始まるより、紹介者が最初に一言つないでくれる方が、お互いに安心できます。
「この方は、こういうことに関心があって」
「この方は、こういう支援をされています」
この他己紹介があるだけで、場の温度がかなり変わります。
紹介のゴールは、資料を渡すことではなく、次の会話が始まること。
そう考えると、必要な準備も変わります。
直接声をかけられる相手には、実績と仮説を持って行く
紹介者を介したルートとは別に、自分から直接声をかけられる相手もいます。
以前から話していた人。
関心を持ってくれていた人。
過去のクライアント。
一度ざっくり相談したことがある人。
こういう相手には、紹介者を挟まなくても、自分で動けます。
ただ、そのときも「何となく声をかける」だけでは弱いです。
大事なのは、実績と仮説を持って行くことです。
たとえば、
「以前お話ししていたサービスが、実際に一度形になりました」
「こういう流れで実施して、こういう反応がありました」
「御社の場合なら、特にこの課題に合うかもしれません」
「一度、詳しく説明する時間をいただけませんか」
こういう形だと、相手も聞きやすい。
ただの売り込みではなく、前に話していたことの進捗共有になります。
しかも、実績が少しでもあると、話の輪郭が出ます。
まだ完璧な成果データがそろっていなくても、先に営業資料の枠を作っておくことはできます。
対象者。
課題。
提供内容。
当日の流れ。
期待できる変化。
価格の見せ方。
導入までの流れ。
こういう枠を先に作っておいて、あとから実績データやお客様の声を差し込む。
そうすると、データが出た瞬間に動きやすくなります。
「結果が出てから準備しよう」だと、また数週間止まることがあります。
でも、枠を先に作っておけば、動き出しが早くなる。
紹介導線も、直接営業も、結局は同じです。
相手が次に何をすればいいか分かる状態を作る。
それがあると、話が前に進みやすくなります。
導線があると、紹介はやさしい協力になる
紹介をお願いすること自体は、悪いことではありません。
むしろ、信頼関係の中で事業を広げていくなら、とても大事な動きです。
ただ、紹介者に全部を任せすぎない。
ここは本当に大事だと思います。
紹介者は、営業担当ではありません。
こちらのサービスを説明し尽くす人でもありません。
相手との間に、最初の橋をかけてくれる人です。
だから、その橋を渡りやすくしておく。
30秒で言える一言。
興味を持った人に渡せる資料。
見た人が自分ごとにしやすいWebページ。
次に話す場を作る流れ。
紹介者がどこまで協力しやすいかを聞く姿勢。
このあたりを整えておくだけで、紹介はかなりやさしい協力になります。
紹介者に無理をさせず、相手にも押しつけ感を出さず、自分も次の会話に入りやすい。
そのための導線を作る。
これは、小さな事業ほど大事な営業準備だと思います。
もし今、「紹介してもらえたら広がりそうなんだけどな」と思っているなら、いきなりお願いする前に一度考えてみてください。
その人は、どんな場面で紹介してくれそうでしょうか。
何があれば、紹介しやすいでしょうか。
興味を持った人は、次にどこへ進めばいいでしょうか。
紹介者に、どこまで協力してもらうと自然でしょうか。
そして、自分はそのあと、何を持って話しに行くのでしょうか。
紹介は、人脈の数より、相手が動きやすい導線で決まる。
僕自身、カタチ舎で事業の言語化や資料づくりを支援していると、こういう「まだ見えない導線」を一緒に整理する場面が多いです。
サービスの中身を整えるだけではなく、誰に、どう伝えて、次の会話につなげるか。
そこまで考えると、営業資料やWebページの役割も見えてきます。
もし、自分のサービスを紹介してもらう流れを作りたいけど、何から整えればいいか分からない方は、X(@murayan_katachi)のDMから気軽に声をかけてください。
紹介者に無理をさせず、でもちゃんと届く導線を、一緒に考えましょう。
Author
村上龍平
カタチ舎代表。言葉、生成AI活用、資料・Web制作を行き来しながら、事業の考えを届く形へ整理しています。