フリーランスになったばかりの頃、けっこう多くの人がぶつかる壁があります。
それが、何屋さん問題です。
「自分は何屋として名乗ればいいんだろう」
「肩書きは、資料作成代行でいいのかな」
「いや、コンサルって言うほどではないし」
「でも、ただの作業者にも見られたくない」
こうやって、肩書きの前で止まってしまう。
めちゃくちゃ分かります。
僕も最初はそうでした。
保険営業時代に営業資料を作っていた流れで、会社を辞めたあとも資料作成の仕事をいただくようになりました。
だから最初は、わりと素直に「資料作成の人」だと思っていたんです。
でも、仕事をしていくうちに、少しずつ違和感が出てきました。
自分が本当に価値を出しているのは、スライドをきれいに整えることだけなのか。
たぶん、そこだけではない。
むしろ、相手の話を聞いて、散らかった情報を整理して、何をどの順番で伝えるかを一緒に考えている時間の方が、かなり大きい。
そう気づいたとき、「何屋さんか」は肩書きから考えるより、困りごとから考えた方がいいのでは、と思うようになりました。
何ができるかより、誰の何を助けるか。
今日は、この話を書いてみます。
肩書きから考えると、だいたい迷子になる
フリーランス初期に肩書きを考え始めると、けっこう大変です。
ライター。
デザイナー。
資料作成代行。
Web制作。
AI活用支援。
コンサルタント。
伴走支援。
並べてみると、どれもそれっぽい。
でも、どれもしっくりこない。
「名乗っていいほど専門性があるのかな」
「他にもっとすごい人がいるしな」
「この肩書きにしたら、できない仕事まで期待されそう」
脳内会議、延長戦突入です。議題は永遠に終わりません。笑
もちろん、肩書きは大事です。
相手に伝えるための入り口になるからです。
ただ、最初から完璧な肩書きを作ろうとすると、身動きが取れなくなります。
なぜなら、肩書きは自分だけで決まるものではないからです。
相手が何に困っているのか。
どの言葉なら「あ、それお願いしたい」と思うのか。
実際に自分がどこで力を発揮できるのか。
これは、やってみないと分からない部分がかなりあります。
だから最初は、「自分は何屋さんか」を決め切る前に、「誰のどんな困りごとを助けられそうか」を見る方が動きやすいです。
「資料作成屋」だと思っていたけど、実は違った
僕の場合、最初の入り口は資料作成でした。
営業資料。
提案資料。
サービス説明資料。
そういうものを作る仕事です。
でも、実際にやっていることを分解してみると、単にパワポを作っているわけではありませんでした。
相手の頭の中にある情報を聞く。
言いたいことを並べる。
重複している話をまとめる。
伝える順番を決める。
必要な言葉と、いらない言葉を分ける。
聞き手が理解しやすい流れにする。
最後に、資料という形に落とす。
つまり、資料は最後の成果物であって、価値の中心はその前にありました。
僕がやっていたのは、情報整理と構成支援だったんです。
これに気づくと、見える景色が変わりました。
「資料を作ります」だと、相手はすでに資料が必要だと分かっている人にしか届きにくい。
でも、
「サービスの説明がうまくまとまらない」
「営業で何を伝えればいいか分からない」
「頭の中にはあるのに、資料に落とせない」
こういう困りごとから入ると、助けられる人が見えてくる。
肩書きは、自分の作業名ではなく、相手の困りごとに橋をかける言葉。
この感覚は、かなり大事だと思っています。
「できることリスト」だけでは商品になりにくい
副業やフリーランス初期は、自分のできることを書き出すのが大事です。
文章が書ける。
資料が作れる。
Canvaが使える。
AIが使える。
人の話を聞ける。
整理するのが得意。
これはもちろん大事です。
でも、できることリストだけでは、なかなか商品になりません。
なぜなら、相手は「あなたが何をできるか」だけで依頼するわけではないからです。
相手が知りたいのは、
「それで、自分の何が楽になるのか」
「どんな状態から、どんな状態に連れていってくれるのか」
です。
たとえば「資料作成できます」よりも、
「頭の中にあるサービス内容を整理して、初回商談で使える説明資料にします」
の方が、困っている人には届きやすい。
「AI活用できます」よりも、
「毎回ゼロから考えている発信案を、AIで下書きできる流れに整えます」
の方が、相手はイメージしやすい。
できることを、そのまま並べるのではなく、相手の困りごとに接続する。
ここで初めて、商品案の輪郭が出てきます。
まずは「誰の・何を・どう助けるか」で考える
肩書きに迷ったときは、いったん名前を決めるのをやめて、次の3つだけ考えてみるのがおすすめです。
誰の:
何を:
どう助ける:
たとえば、こんな感じです。
誰の:
副業を始めたいけど、最初の商品案が決まっていない会社員
何を:
自分の経験や得意なことを、商品として説明できない状態
どう助ける:
60分のヒアリングで整理して、最初の商品案と言葉にする
これが書ければ、肩書きがまだ曖昧でも、人に話せます。
むしろ最初は、この一文の方が強いです。
「僕は〇〇コンサルです」と名乗るより、
「副業を始めたいけど商品案が決まらない人向けに、経験の棚卸しと言葉づくりを手伝っています」
と言った方が、相手の顔が浮かびます。
肩書きは、あとから整えても大丈夫です。
最初に必要なのは、名刺に載せる言葉ではなく、相手と会話が始まる言葉です。
最初の商品案は、肩書きよりも会話から育つ。
だから、まずは小さく言葉にしてみる。
話してみる。
相手の反応を見る。
「それ、まさに困ってます」と言われたら、そこに価値があります。
「それより、こっちの方が困ってる」と言われたら、地図を書き直せばいい。
それで十分です。
何屋さんかは、歩きながら見えてくる
フリーランス初期の何屋さん問題は、けっこう苦しいです。
自分の専門性がないように感じる。
名乗れるほどの実績がないように感じる。
もっと分かりやすい肩書きの人と比べてしまう。
でも、最初から完璧に名乗れなくても大丈夫です。
肩書きは、自分を固定するためのものではなく、相手に届くための仮置きです。
やってみて、相手の困りごとを聞いて、自分が力を発揮できるところを知って、少しずつ更新していけばいい。
僕も「資料作成屋」から始まって、いまは「情報を整理して、言葉と資料とWebの形にする人」という感覚に近づいています。
それは、最初から決めていたものではありません。
歩きながら見えてきたものです。
だから、今まさに肩書きで迷っている人は、まず一度こう考えてみてください。
自分は何屋さんか。
その前に、
誰の何を助けられそうか。
その人は、今どんなことで困っていそうか。
自分の当たり前で、少し楽にできることは何か。
そこからでいいと思います。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
この記事が、肩書きの前で止まっている人の背中を少しでも押せたら嬉しいです。
一人で整理しきれないときは、カタチ舎でも壁打ちできます。
「自分は何屋さんなんだろう」「この得意は商品になるのかな」と感じている方は、X(@murayan_katachi)のDMから気軽に声をかけてください。
一緒に、あなたの困りごと起点の言葉を探しましょう。
Author
村上龍平
カタチ舎代表。言葉、生成AI活用、資料・Web制作を行き来しながら、事業の考えを届く形へ整理しています。