動画を作る。
資料を作る。
ホームページを作る。
noteを書く。
何かしらの制作物を作るときに、よく起きることがあります。
それは、
「伝えたいことが多すぎて、全部入れたくなる」
という問題です。
これ、決して悪いことではないんですよね。
むしろ、伝えたいことがたくさんあるのは、その人が本気で仕事をしてきた証拠だと思います。
業界経験がある。
知見がある。
現場で見てきたことがある。
失敗もしてきた。
お客さんに本当に役立つことを知っている。
だからこそ、
「これも伝えたい」
「あれも入れておきたい」
「ここまで言わないと誤解されるかもしれない」
となる。
めちゃくちゃ分かります。
僕も、資料やホームページや動画の整理をお手伝いする中で、何度も見てきました。
そして自分自身も、noteを書くときに普通にやります。
気づいたら話が増えている。
見出しが増えている。
余談のはずが本編くらいの顔をしている。
いや、君いつから主役になったん。笑
でも、制作物には必ず目的があります。
その目的を置き去りにして「あれもこれも」を入れていくと、結果的に一番届けたいことがぼやけてしまうことがあります。
伝えたいことが多いほど、全部入れるのではなく、届く順番を整理する必要がある。
今日は、この話を書いてみます。
知見がある人ほど、制作物に詰め込みたくなる
制作物に情報を詰め込みたくなるのは、経験が浅いからではありません。
むしろ逆だと思っています。
経験があるからこそ、見えているものが多い。
知識があるからこそ、省略するのが怖い。
現場を知っているからこそ、
「ここを言っておかないと、あとで困るかもしれない」
と思う。
たとえば、サービスのプロモーション動画を作るとします。
本来であれば、その動画には目的があります。
新しいサービスを知ってもらう。
興味を持ってもらう。
問い合わせにつなげる。
既存のお客さんに概要を伝える。
営業前の説明資料として使う。
目的や用途によって、入れるべき内容は変わります。
でも、作り始めるとどうしても出てきます。
サービスの背景も話したい。
想いも入れたい。
具体的な流れも説明したい。
事例も入れたい。
お客さんにやってほしいワークも入れたい。
他のサービスとの違いも伝えたい。
よくある質問も先回りしたい。
この気持ちは、本当に自然です。
ちゃんと伝えたいんです。
誤解されたくないんです。
せっかく作るなら、良いものにしたいんです。
ただ、その結果として、最初は15分くらいの想定だった動画が、気づけば30分になりそうになる。
追加で撮りたい内容が出てくる。
もう一回撮り直したくなる。
リリース予定だったタイミングがずれる。
そして、世に出る前の状態で止まってしまう。
これ、かなりもったいないです。
本人の想いもある。
サービスも良い。
伝えたいこともある。
なのに、外には出ていない。
つまり、まだ誰にも届いていない。
制作物には「今回の役割」がある
動画も、資料も、ホームページも、noteも、全部を背負わせると重くなります。
制作物には、それぞれ「今回の役割」があります。
たとえば、プロモーション動画なら、
「まず興味を持ってもらう」
ことが役割かもしれません。
営業資料なら、
「商談中に説明しやすくする」
ことが役割かもしれません。
ホームページなら、
「この人に相談しても大丈夫そうだと思ってもらう」
ことが役割かもしれません。
noteなら、
「考え方や人柄を知ってもらう」
ことが役割かもしれません。
ここを決めないまま作ると、制作物がどんどん万能化していきます。
認知も取りたい。
説明もしたい。
教育もしたい。
信頼も作りたい。
問い合わせも欲しい。
申し込みもしてほしい。
全部やってくれ制作物、爆誕。
そりゃ重い。背負わせすぎです。笑
もちろん、1つの制作物が複数の役割を持つことはあります。
でも、最初から全部を狙うと、見る側にとっては負担が大きくなります。
「で、結局これは何の話なんだろう」
となってしまう。
作る側は全部つながって見えています。
でも、見る側は初見です。
前提知識も違う。
興味の深さも違う。
困りごとの温度も違う。
だからこそ、最初の制作物では、見る人が受け取れる量まで絞る必要があります。
制作物は、作る側の全部を入れる箱ではなく、見る側が受け取れる形に整えるもの。
ここを忘れると、せっかくの知見が届きにくくなります。
インターネットでは、まず見られるかどうかも分からない
もう一つ大事なのは、インターネットに出す制作物は、そもそも見られるかどうか分からないということです。
これは少し切ないですが、かなり大前提だと思っています。
動画を出したからといって、必ず見られるわけではない。
ホームページを作ったからといって、隅々まで読まれるわけではない。
noteを書いたからといって、最後まで読まれるわけではない。
YouTubeも、Xも、ブログも、全部そうです。
見てもらえるか分からない。
見てもらえたとして、最後まで見てもらえるか分からない。
最後まで見てもらえたとして、こちらが意図した通りに伝わるか分からない。
なかなか厳しい世界です。
「せっかく30分の動画を作ったのに、平均視聴時間が2分でした」
みたいなことも普通にあります。
泣いていいですか。泣
でも、だからこそ、最初から100点満点を目指しすぎない方がいい。
もちろん、雑でいいという意味ではありません。
相手に失礼なものを出していいという話でもありません。
ただ、出してみないと分からないことに対して、出す前から完璧を求めすぎると、検証の前に止まってしまいます。
どこまで見られるのか。
どこで離脱されるのか。
どの言葉に反応があるのか。
何が分かりにくいのか。
どこをもっと知りたいと思われるのか。
これは、世に出して初めて分かることです。
**公開前にできるのは仮説づくり。
答え合わせは、出したあとにしかできない。**
だから最初は、60点でもいいから出してみる。
そして、反応を見ながら直していく。
この考え方が、かなり大事だと思っています。
60点で出すのは、手を抜くことではない
「60点で出しましょう」と言うと、
「中途半端なものを出していいんですか」
と思う人もいるかもしれません。
でも、僕が言いたい60点は、手抜きの60点ではありません。
目的に対して必要最低限が入っている状態です。
たとえば、プロモーション動画なら、
誰に向けたサービスなのか。
何に困っている人のためなのか。
何をしてくれるのか。
相談すると、どんな状態に近づけるのか。
次に何をすればいいのか。
まずはここが伝わればいい。
サービスの歴史や、詳細な理論や、関連するワークや、派生する話は、別の動画や記事に分けてもいい。
ホームページも同じです。
最初から全ページを完璧に作り込まなくてもいい。
まずは、
何をしている人なのか。
誰のためのサービスなのか。
どう相談すればいいのか。
この最低限があれば、公開できます。
noteも同じです。
1本の記事に全部を入れなくていい。
むしろ、1本で全部を語ろうとすると長くなりすぎます。
別の記事で補えばいい。
何本か読んでもらう中で、
「あ、この人はこういうことを大事にしているんだな」
と伝わっていけばいい。
情報は、1つの制作物だけで完結しなくてもいいんです。
点で出して、あとから線になる。
この感覚でいいと思っています。
一回出したら終わり、ではない
制作物を重くしてしまう理由の一つに、
「一回作ったら、もう直せない」
という感覚がある気がします。
でも、今の制作物の多くは直せます。
ホームページは更新できる。
noteも追記できる。
YouTubeの概要欄も変えられる。
動画そのものは差し替えが難しい場合もありますが、補足動画を出すことはできます。
資料も、次の商談で直せます。
つまり、制作物は一回で完成させるものというより、運用しながら育てるものです。
もちろん、印刷物や広告出稿など、後から直しにくいものもあります。
その場合は事前確認が大事です。
でも、多くの発信物やWeb上の制作物は、出したあとに改善できます。
ここを前提にすると、少し軽くなります。
「今回で全部伝え切らなきゃ」
ではなく、
「今回はまずここまで届けよう」
でいい。
足りなければ、次に足す。
分かりにくければ、次に直す。
反応がなければ、切り口を変える。
そうやって少しずつ、届く形にしていく。
制作物は、完成させて終わりではなく、出してから育てるもの。
僕自身も、今こうしてnoteを書いているのは、まさにその反省からです。
これまで頭の中には、伝えたいことがたくさんありました。
でも、世の中に出していなければ、存在していないのとほとんど同じです。
どれだけ良いことを考えていても、誰にも届いていなければ、相手から見ると「ない」んですよね。
これはなかなか厳しい。
でも、逆に言えば、拙くても出せば存在します。
60点でも、言葉にすれば残ります。
1本では伝わりきらなくても、2本、3本と積み重なる中で、
「この人はこういうことを言いたいんだな」
と伝わっていく。
だから、完璧な1本を作ろうとして止まるより、小さく出して積み重ねる方が強いと思っています。
伝えたいことが多いときは、順番を決める
では、伝えたいことがたくさんあるときは、どうすればいいのか。
僕は、まず順番を決めるのがいいと思っています。
全部捨てる必要はありません。
ただ、今回の制作物に全部入れなくていい。
たとえば、次のように分けます。
1. 今回、必ず伝えること
2. 伝えたいけど、今回は補足に回すこと
3. 別の制作物に分けた方がいいこと
4. まだ検証してから出した方がいいこと
この4つに分けるだけでも、かなり整理されます。
ポイントは、
「情報を減らす」
ではなく、
「届ける順番を決める」
と考えることです。
せっかくの知見を捨てるわけではありません。
むしろ、ちゃんと届くように分ける。
動画で最初の興味を作る。
ホームページで概要を整理する。
noteで考え方を深める。
資料で商談中に説明する。
個別相談で相手に合わせて話す。
こんなふうに役割を分ければ、1つの制作物に全部を背負わせなくて済みます。
結果的に、見る側も受け取りやすくなります。
そして作る側も、公開しやすくなる。
ここが大事です。
まずは世の中に置いてみる
伝えたいことがあるなら、まず世の中に置いてみる。
少し拙くてもいい。
まだ言葉が整い切っていなくてもいい。
完璧な構成じゃなくてもいい。
もちろん、最低限の配慮や分かりやすさは必要です。
でも、100点になるまで待っていたら、いつまでも出せないことがあります。
しかも、100点だと思って出したものが、本当に相手にとって100点かどうかは分かりません。
だったら、まず60点で出してみる。
反応を見る。
フィードバックをもらう。
分かりにくいところを直す。
足りないところを別の記事や動画で補う。
そうやって、届けたいことを育てていく。
これからの時代は、そういう作り方がかなり大事なんじゃないかなと思っています。
世に出ていない100点より、世に出た60点の方が、次につながる。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。
もし今、動画や資料やホームページを作ろうとしていて、
「あれも入れたい」
「これも伝えたい」
「まだ足りない気がする」
と思って止まっているなら、一度「今回の役割」を決めてみてください。
今回、誰に何を届けるのか。
見た人に、まずどうなってほしいのか。
何は次回に回してもいいのか。
ここを整理するだけで、制作物はかなり軽くなります。
一人で整理するのが難しければ、X(@murayan_katachi)のDMから気軽に声をかけてください。
カタチ舎では、頭の中にある想いや知見を、届く順番に整理して、資料・Web・発信の形にするお手伝いをしています。
あなたの伝えたいことが、制作途中のまま止まらず、ちゃんと誰かに届くきっかけになれば嬉しいです。
Author
村上龍平
カタチ舎代表。言葉、生成AI活用、資料・Web制作を行き来しながら、事業の考えを届く形へ整理しています。